


ロウバイ科ロウバイ属花期1~2月

冬のこの時期に咲く四種類の花の事を
「雪中四友」といって、黄梅・蝋梅・水仙・山茶花
その中のロウバイ(蝋梅)のお話だよ
中国が原産国の落葉低木、江戸時代の初期に
日本へやって来たんだ。
ロウバイという名前は、花が蝋細工で出来た様な
半透明の美しさからだね
その美しさは文豪 芥川龍之介に愛され
その上品な香りは「冷ややかにしみ透る匂い」と
表現される程に素晴らしい香りを放つよ
その姿が見えなくとも、近くにロウバイの花が
咲いている事が分かるんだ

旧町内の古くからある屋敷の庭にあるわ
裏庭の塀の上で日向ぼっこをしていると
庭に植えられたロウバイの香りが漂って
ステキだわ

古い屋敷の庭はイメージ通りだね
ロウバイは雌性先熟の花で雌しべが先に成熟
受粉してから雄しべが伸びて花粉を出すんだ
これにより、自家受粉を防ぐ仕組みに
なっているんだね、自家受粉を繰り返すと
環境の変化や病害虫に対する抵抗力が
弱くなってしまうからダメなんだよ

ロウバイは冬の時期に花を咲かせて
花が終わる春に新しい葉が広がってくるんだ
花は受粉を経て偽果となり、その中には楕円形の
小豆位の実があって、この実にはアルカロイド系の
カリカチンという神経毒が含まれているから
非常に危険だよ、カリカチンは誤食すると
強直性痙攣で弓なりに体をこわばらせ、筋肉が
硬直して動かなくなり、呼吸不全を引き起こすよ
これは猛毒ストリキニーネを服用した時と
同じような症状なんだ

ストリキニーネといえば「母を訪ねて三千里」だね
パブロの妹フアナが肺炎になったのを主人公マルコが
医者に助けを求めて、その時に処方した薬が
ストリキニーネだとアニメでは言っていたけど
ストリキニーネは猛毒だよ、フアナ泡吹いて
死んじゃうよ、案の定、地方局など一部の再放送
終了後に「本編に登場するストリキニーネは
キニーネの誤りです」ってテロップが出たよ
びっくりしちゃった、フアナが泡吹いてぶっ倒れた
姿がアップになったらどうしようかと思っちゃった

いやいや、ストリキニーネといえば
1993年の埼玉愛犬家連続殺人事件で使用した
硝酸ストリキニーネやろ
この事件をベースとした映画「冷たい熱帯魚」も
是非、観てほしい映画のひとつやわ
でんでんさんの素晴らしい演技により
観る人全てを狂気の世界へ導き、人間の
計り知れない強欲さを考えさせる作品やわ

いや…だからさ…せっかく芥川龍之介まで登場して
美しい構成でいこうと考えていたのに
アメディオ(主人公マルコの肩に乗っている猿)と
犬と熱帯魚の話になるかな…
ロウバイの花や蕾から抽出するエキスは
「蝋梅油」といって抗菌作用があるから火傷や
鎮痛剤・解熱剤・咳止め薬として使われるよ
ロウバイは医薬品として人々の役に立ち
文人たちに愛された花なんだね